中村達希

COMPLEX
MULTILAYERED
ABUSE

なぜ助けを求められなかったのか。 その理由を、仕組みから考える。

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CMA
中村達希
参照定義:v2.0
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02 Framework

5層の役割と関係

閉鎖した環境において、虐待や排除が固定化しやすくなる仕組みを五つの層から捉えます。

当事者経験を出発点としつつ、個人の心の問題に還元せず、関係性と環境の維持構造を客観的に記述するためのモデルです。

参照定義: Theory Definition v2.0

読み方は上から順です。まず五つの層の役割を確認し、そのあと下部の見取り図で全体の位置関係を整理します。

L1

孤立・情報遮断

Isolation & Information Blockade

外部との物理的・情報的・社会的な接点が制限され、支援や客観的な第三者の視点に触れる機会が狭められる構造。

L2

依存固定

Dependency Fixation

生活資源、情報、承認などを特定の主体や環境に依存せざるを得ず、自力での離脱や選択肢の確保が困難になる構造。

L3

正常化・ガスライティング

Normalization & Gaslighting

不当な扱いが「当たり前」「当然のルール」とされ、違和感や認識を否定されることを通じて、問題を問題として認識しにくくなる構造。

L4

制度的無応答

Institutional Non-Responsiveness

外部の機関や支援制度による応答が十分に機能せず、結果として既存の閉鎖環境の持続に関与してしまう状況。

L5
長期的作用に伴う影響

身体/記憶の断片化

Somatic & Memory Fragmentation

閉鎖構造が持続するなかで生じ得る、身体反応や記憶の不連続性を記述する層です。環境を維持する L1〜L4 と同型の仕組みではなく、長期的作用に伴う帰結として位置づけられます(他層への戻りは現時点では研究上の仮説です)。

位置の見取り図

上の四つは環境の維持に関わる構造層です。下の一つはその持続的な作用に伴って生じ得る影響を表しています。

L1|孤立・情報遮断Isolation
L3|正常化・ガスライティングNormalization
中心に見るもの閉鎖的で自己補強する構造
L2|依存固定Dependency
L4|制度的無応答Non-Responsiveness
長期的作用に伴う帰結(循環ループにはしない)
L5 ・ 影響の層身体/記憶の断片化
※この配置は関係性を整理するための説明用図式であり、確定した因果モデルではありません。
層の番号とモデルの運用について

層の番号(L1〜L5)は発生の順序や重症度の順位を表すものではありません。各層を数値化して加算・評価する測定法は確立しておらず、CMAは個人の診断、治療、重症度の判定を目的とするものではありません。

動態を可視化する試み

各層の関係性や外部介入時の動態をインタラクティブに確認するための探索的シミュレーターです。

見取り図シミュレーターを開く ↗

STRUCTURAL PROCESS

03|構造はなぜ持続するのか

なぜ、虐待や排除は長期間にわたって固定化し、抜け出せなくなるのか。
02で確認した各層(孤立・依存固定・正常化・制度的無応答)がどのように噛み合い、自己補強的な閉鎖構造(Self-Reinforcing Structure)を形成するのか、その力学プロセスを整理します。

構造的プロセスの4つの視点

以下は、虐待・排除が持続するプロセスを検討するための分析的な整理です。必ずこの順序で進む段階モデルや、決定論的な状態遷移を示すものではありません。

01

虐待・排除の出来事Abuse / Exclusion

単発の出来事としてではなく、その加害や排除が生じ、繰り返されてしまう環境や関係性の配置とあわせて捉えます。

02

構造的要素の相互作用Structural Interaction

孤立・情報遮断、依存固定、正常化・ガスライティング、制度的無応答の各層が、どのように複合的に重なり合っているかを分析します。

03

自己補強的な閉鎖関係Self-Reinforcing Dynamics

問題への気づき、支援への接続、環境からの離脱が妨げられ、構造を維持する各条件が互いを補強し合ってしまう循環を捉えます。

04

構造の持続・固定化Persistence / Stabilization

不当な環境が長期にわたって維持されてしまう力学を記述します。「固定化」は不可逆であることや、運命的な結果を意味しません。

参照定義と、この説明の位置づけ

参照定義:CMA Theory Definition v2.0
用語規範:Official Terminology v1.0.1(DOI: 10.5281/zenodo.22205874)

本ページは構造力学の理解を助けるための要約解説です。各層の公式定義については 02|5層の役割と関係 を参照してください。

CMAは非診断的な概念フレームワークであり、個人の診断、重症度の点数化、結果の予測に用いるものではありません。

05 Development & Comparison

CMAフレームワークは、単一の当事者体験(N=1)の記述にとどまらず、個人の心理や病理に帰着させない構造分析モデルとして体系化されています。ここでは、経験記録から理論モデルへの抽象化プロセスと、既存の主要学術概念との比較を提示します。

経験から理論への抽象化プロセス

実存的経験記録 (N=1) ↓ 記述の客観化・要素分解 ↓ 閉鎖環境における共通力学の抽出 ↓ CMA 5層構造モデル(Theory Definition v2.0)

閉鎖構造の深化フェーズ(Case-Based)

Phase 1: 境界の浸食と初期孤立

外部からの情報や客観的基準が遮断され、閉鎖的な関係性の中だけで評価や規範が決定づけられていく初期段階。

Phase 2: 選択肢の剥奪と依存の固定化

生活基盤や意思決定の主導権が偏り、環境から離脱するための手段やリソースへのアクセスが制度的・物理的に制約される段階。

Phase 3: 異常性の日常化(正常化)

不当な処遇や不均衡な権力勾配が日常の「当たり前」として内面化され、被害当事者自身も違和感を訴える語彙を失う段階。

Phase 4: 制度的不応答と身体化の帰結

外部機関への相談やSOSが手続きの狭間に埋もれて機能せず、出口を閉ざされた持続的過負荷が心身の症状・麻痺として定着する段階。

既存理論との比較と独自性

概念・枠組み主な着眼点CMAとの相違・拡張性
家庭内暴力・DV論(Coercive Control)親密な関係における支配・管理行動の持続。家族間に限らず、福祉施設・医療・閉鎖的組織全般へ適用可能。制度側の不応答を構造の決定打として組み込む点。
全制的施設論(Total Institutions)閉鎖機関における個人のアイデンティティ剥奪。公的施設だけでなく、インフォーマルな私的空間や小規模コミュニティに潜在する類似の閉鎖力学を説明可能。
医学・診断モデル(PTSD / CPTSD)トラウマ体験による個人の精神・身体的症状。CMAは病名や診断ではなく、状態を生み出し持続させる「環境と制度の力学」を解明する構造分析である点。
ANALYSIS & EXPLORATION
構造分析フレームワークの活用
CMAモデルの5層構造(孤立・依存・正常化・制度的不応答・身体化)に基づき、各層の相互作用や評価基準を詳しく確認できます。
03 コアメカニズムで詳細を見る →

06 Research Archive & Primary Sources

CMA(複合的多層的虐待)理論の基礎となる一次資料、オープンアクセス論文、および関連する学術ドキュメントのアーカイブです。 検証可能性と透明性を担保するため、永続識別子(DOI)を付与したオープンリポジトリ(Zenodo等)にて公開しています。

Theory Definition2026-08

Complex Multilayered Abuse (CMA) Theory Definition Version 2.0

閉鎖環境における孤立・依存・正常化・制度的不応答の力学、および結果としての身体化(Layer 05)を構造的に整理したマスター定義書です。

Zenodo で閲覧・引用する ↗
Legal & Copyright2026-06

文化庁 著作権登録(第41365号の1)

理論的フレームワークおよび体系化されたドキュメント群の著作権登録記録。CC BY 4.0ライセンスに基づく自由な引用・研究利用を保証します。

利用規約・ライセンス詳細へ ↗
Case Study / N=1Archive

実存的経験記録と一次データ(N=1)

理論の出発点となった当事者経験の手記および記録。客観的理論モデル(Experience ≠ Theory)と厳密に分離して保管されています。

公開アーカイブ一覧(総合窓口) ↗

07 Master Definition & Interpretation Repository

CMA(Complex Multilayered Abuse)フレームワークの公式定義書正本(Theory Definition v2.0)、コア5層の統一解釈指針、および誤読・概念の過拡張を防ぐための運用ルールを集中管理するリポジトリです。

Current Master Definition / 現行定義 (v2.0)
Complex Multilayered Abuse (CMA) is a non-diagnostic conceptual framework for describing how multiple forms of abuse and exclusion may become organized and sustained within a closed, self-reinforcing structure, and how prolonged structural action may be accompanied by bodily and memory-related effects.
CMA(複合的多層的虐待)は、複数の虐待・排除が閉鎖環境のなかでどのように構造化され、自己補強的に持続し得るのか、また、その長期的作用に伴って身体・記憶に関する影響がどのように生じ得るのかを記述する、非診断的な概念フレームワークです。
※当事者経験(N=1)は研究の出発点であり、理論モデルそのものではありません。本モデルは医療的診断基準や重症度の点数化を行うものではありません。

Core Structural Model — 5 Core Layers

01 — Isolation & Information Blockade

外部との接触、支援、情報、別の価値観や比較対象へのアクセスを制限し、閉鎖的構造の土台を形成する環境・関係性。

02 — Dependency Fixation

経済的・感情的・生活上・制度的な依存が固定化され、離脱や選択肢の確保を困難にする関係性。

03 — Normalization & Gaslighting

異常な状況が「普通」として扱われ、問題認識、現実認識、自己認識が歪められる認知過程。

04 — Institutional Non-Responsiveness

外部の制度・組織・社会的支援が効果的に応答しない、または応答が遅れることによって、既存構造が持続に関与する状況。(※一次形: 制度的無応答)

05 — Somatic & Memory Fragmentation

構造の長期的作用に伴って生じ得る、身体反応、記憶の不連続性、自己像に関する影響などを扱う。(※環境維持ギアではなく影響・帰結の領域)

Important Interpretation / 重要な解釈指針:
5 Core Layers は順番に進行する5段階のステップ(発達段階)ではありません。

Layer 1–4 は閉鎖環境において構造の持続に関わる側面(維持機構)を記述し、Layer 5 は構造の長期的作用に伴って生じ得る身体・記憶に関する影響(帰結)を記述します。Layer 5 から他層へのフィードバックは現段階では研究上の仮説(「し得る」)であり、確定した因果ループとして扱うものではありません。

Cognitive CMA OS v2 との概念分離

概念分離に関する規定:
Cognitive CMA OS v2(制度 / 実践者判断 / 環境可視性)は、支援介入の困難性を分析するための別体系の実践タギングツールです。これら3層はCMA 5 Core Layers の「第6〜8層」ではありません。分析単位と目的が異なるため、研究・解説において明確に分離して管理されます。

08 Developer Profile & FAQ

中村達希

中村 達希

Tatsuki Nakamura

日本の独立研究者・当事者研究者。

支援を求めても届かない、あるいは届いているように見えても不利益が固定化されてしまう。そうした「見えにくく、言葉にならない苦しみ」が、個人の心の問題や単発の出来事として片付けられてしまうことへの強い危機感が、本研究の原点です。

私自身の実存的経験(N=1)を問いの出発点としながらも、個人の人生史と理論モデルを厳密に分離(Experience ≠ Theory)し、関係性や制度の相互作用によって虐待環境が維持される「自己強化構造」を可視化するための枠組みとして、CMA(複合的多層的虐待)を提唱・研究しています。

※脳性麻痺・視野障害等の身体特性を有しますが、CMA理論は特定の障害や病理に依存しない構造分析モデルです。

Official Links & Profiles

論文・活動情報や各SNSは、以下のプラットフォームよりご覧いただけます。

よくある質問(FAQ)と境界線

Q.CMAは著者の個人的な人生史や体験談そのものですか?
いいえ。当事者経験(N=1)は問いの出発点ですが、CMAモデルは抽象化・客観化された構造メカニズムです。個人の手記(Zenodo収録作品等)とは方法論的に明確に分離されています。
Q.CMAは特定の病気や精神疾患の新しい診断名ですか?
いいえ。CMAは非診断的な概念フレームワークであり、個人の心を病理化・判定する医療的診断基準ではありません。不利益が維持される環境や制度の構造を可視化するための整理ツールです。

09 Contact & Guidelines

CMA(複合的多層的虐待)の研究に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
取材や執筆のご相談、理論に関するお問い合わせは、以下の公式窓口よりお気軽にご連絡ください。

メディア取材・執筆・登壇のご相談

当事者研究の歩みや、CMAフレームワークに関する取材・寄稿を歓迎しております。媒体の形式(Web、雑誌、学術誌など)は問いません。企画がまだ固まっていない段階でも、一緒に考えながら進めていくことが可能ですので、まずはお気軽にお声がけください。

理論・学術に関するお問い合わせ

CMAの理論定義(v2.0)に関する学術的なご質問や、他分野(福祉・心理・社会学など)からの知見の共有など、モデルを深めるためのオープンな対話を大切にしています。

公式お問い合わせフォーム

以下のフォームよりメッセージをお送りください。
確認次第、ご入力いただいたメールアドレス宛に返信いたします。

中村 達希(Tatsuki Nakamura)
独立・当事者研究者
Complex Multilayered Abuse(CMA/複合的多層的虐待)
ORCID: 0009-0004-9696-7896
Web: https://tatsuki-nakamura.com
※ CMAは非診断的な枠組みであり、提唱者自身は医療・心理職ではありません。安全と倫理の観点から、個別ケースの臨床的なご相談や個人的なカウンセリングはお受けしておりませんので、あらかじめご了承ください。
CMAの引用・ご利用について(ライセンス)

CMAフレームワークはオープンアクセス(CC BY 4.0)です。出典(クレジットやDOI)を明記いただければ、事前のご連絡なく教育・研究・紹介等で自由にご利用いただけます。

※ 理論を独自に応用・改変される場合は、公式原典(v2.0)との相違点がわかるよう明記をお願いいたします。

10 Development Log & Status

CMA理論および関連研究の客観的ステータスと、直近の重要マイルストーンを記録する掲示板です。
※日々の思考プロセスやリアルタイムの考察は、日常の発信窓口(X) にて随時共有しています。

Current Status — 現在の審査・執筆動態

SUBMITTED (2026-09-25)

【視野認定研究】国際学術誌 JVIB (Journal of Visual Impairment & Blindness)

視野認定領域における当事者研究原稿(ID: JVIB-26-0200)について、事前査読チェックリスト(PrePeer-Review Manuscript Checklist)を通過し、編集長(Editor-in-Chief)の確認・承認へ向けて送付済みです。

※重要注記: 本件は事務的な事前審査の通過であり、外部査読(Peer Review)の開始や採択(Accepted)を示すものではありません。また、本研究はCMA理論体系とは独立した別プログラムの研究です。

SUBMITTED / UNDER REVISION

【CMA理論体系】学術誌査読投稿論文

当事者研究に基づく虐待構造自動維持メカニズムの概念解明論文(『障害学研究』投稿中)を含め、査読審査および学術対話に向けた推敲・準備を継続しています。

Recent Milestones — 直近の公式確定成果

2026-08-31

5 Core Layers 公式用語ノート v1.0.1 策定

DOI: 10.5281/zenodo.22205874 ↗
2026-08-22

CMA Research Architecture V2.1 定式化(体験と理論の区別)

DOI: 10.5281/zenodo.22052937 ↗
2026-08-10

CMA Theory Definition v2.0 マスター定義確定

DOI: 10.5281/zenodo.21876469 ↗
記録の追跡可能性(Provenance)について:
本サイトの表示軽量化およびメンテナンス性維持のため、掲示板には直近の確定マイルストーンのみを掲載しています。初期からの全開発履歴・改訂ログは、学術記録として内部保管(Google Drive)されています。
Guidebook / 入門解説

12 CMA Framework Guidebook

〜「抜け出しにくさ」の仕組みをやさしく解き明かす〜

1. 何を考える研究か:個人の性格ではなく「環境の仕組み」を見る

つらい環境から離れられなかったり、被害の影響が長く続いたりするとき、「なぜ逃げなかったのか」「本人の意思が弱いのではないか」と、個人の性格や責任だけに原因が求められてしまうことがあります。

CMA(複合的多層的虐待)は、当事者が長年経験してきた事実を出発点に、「本人の心や性格ではなく、周囲の環境や関係性がどう組み合わさって抜け出せなくなっていたのか」を客観的に解き明かすための研究です。

💡 CMAモデルの基本スタンス
  • 病名を診断するものではありません: 個人を判定・評価するための尺度ではなく、状況を整理するための「客観的な地図」です。
  • 個人の意思だけに帰属させません: 外部との接点、生活の依存、制度の対応など、周囲の条件から「離れにくさ」を捉えます。
  • 仕組みの重なりを見ます: 単発のトラブルではなく、複数の事情が重なって閉鎖的になっていく過程に着目します。

2. 身近な架空例:相談先を知っていても「動けない」とき

【ケースの例】相談窓口の存在を知っているのに、助けを求められない状況

スマートフォンで相談先を調べることはできても、端末を常に監視されていたり(孤立)、生活費や住まいを相手に完全に握られていたり(依存)すると、外部に連絡する選択肢自体が奪われます。
さらに、日常的に「お前が悪い」「これが普通の家庭だ」と言われ続けることで違和感が麻痺し(正常化)、勇気を出して一度相談しても「家庭内の問題だから」と実質的な介入が得られなかった場合(制度的無応答)、本人は外部への希望を断たれ、結果としてその閉鎖環境に縛られ続けてしまいます。

このように、本人の意思や知識の有無に関わらず、周囲の条件が組み合わさることで「動けない状態」が外側から作られてしまうことを、CMAでは分析します。

3. 5つの層:状況を形づくる5 Core Layers

CMAでは、問題が長引いて固定化するプロセスを、以下の5つの層(側面)に整理して捉えます。

  • L1

    外部から孤立し、情報が届かないこと 孤立・情報遮断 / Isolation & Information Blockade

    外部との接点や第三者の目が遮られ、助けを求める先につながれなくなる状態。

  • L2

    相手やその場所に頼らざるを得ないこと 依存固定 / Dependency Fixation

    生活費、住まい、身体的ケア、感情面などで相手に頼らざるを得ず、離脱の選択肢が狭まる状態。

  • L3

    おかしな状況が「当たり前」とされること 正常化・ガスライティング / Normalization & Gaslighting

    不当な扱いや異常な環境を「自分のせい」「普通のこと」と思い込まされ、問題として認識しにくくなる状態。

  • L4

    相談しても実質的な支援が届かないこと 制度的無応答 / Institutional Non-Responsiveness

    制度や窓口による応答や介入が十分に機能せず、結果として既存の閉鎖環境がそのまま続いてしまう状況。

  • L5

    身体の反応や記憶がバラバラになること 身体・記憶の断片化 / Somatic & Memory Fragmentation

    環境を維持する L1〜L4 とは異なり、構造が長く続くなかで現れ得る心身の影響・現象を扱います。(※他層への二次的な影響は現段階では仮説です)

⚠️ 理論上の注意点:第5層(L5)の性質の違い

L1〜L4 は「環境を固定化させる周囲の条件」ですが、L5 は「その環境が長く続いた結果として身体や記憶に現れ得る影響」です。原因と結果を混同したり、不可逆な運命として決めつけたりしないよう、学術的に明確に区別されています。

4. 支援現場での捉え方:状況を見つめ直す「3つの問い」

※適正な運用のために: 本資料は、複雑な環境を客観的に見つめ直すための「説明用マップ」です。医療的な診断を下したり、現場で虐待の有無を機械的に判定・点数化したりするツールではありません。

支援者や教育関係者が、目の前の相談者の困難をより深く聞き取り・理解するための「視点の問い」として活用できます。

問い 1. 物理的・心理的な安全は確保されているか?

本人が恐怖や監視を感じることなく、自由に相談できる人や場所が実質的に確保されているかを見つめます。

問い 2. 相談へのアクセスを阻む「事情」はないか?

相談先を知っていても、生活の依存や「自分が悪い」という思い込みによって、助けを求めることをためらっていないかを考えます。

問い 3. 相談したあと、どのような応答があったか?

過去に外部へSOSを出した際、実質的な支援につながらず、かえって孤立を深めてしまった経験がないかを丁寧に確認します。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 病院での診断(CPTSDなど)とはどう違うのですか?
A. 医療的な診断ではなく、環境の仕組みを客観的に整理するフレームワークです。
複雑性PTSD(CPTSD)等の医学的診断が「個人の精神症状や心身の反応」を対象にするのに対し、CMAは「その困難がなぜ長期化し、抜け出せなくなっていたのかという周囲の環境・関係性の仕組み」を記述することに特化しています。
Q2. どのような場面の分析に向いていますか?
A. 長期にわたる閉鎖的・支配的な環境の分析に向いています。
家庭、閉鎖的なコミュニティ、長期滞在施設など、離脱が困難で外部からの介入が届きにくい長期的環境を対象としています。単発のトラブルや一時的な人間関係の衝突には適合しません。
Q3. 研究者個人の体験談そのものですか?
A. 体験は出発点ですが、個人の人生史そのものではありません。
当事者としての経験(N=1)を振り返り、繰り返し観察される「構造の仕組み」を客観的に概念化したものです。第三者が検証・議論できる独立した学術モデルとして提示されています。

6. さらに詳しく知りたい方へ

本ページは入門用の概要です。より深い学術的背景や一次資料については、以下のページをご覧ください。

  • 時間の積み重なりを整理する(8 Strata): 幼少期から現在に至る経験の履歴を通時的(時間の流れに沿って)に振り返る補完的図式です。普遍的な発達理論ではなく、個別の歩みを言語化するための参照点として位置づけられています。
  • 中核理論の構造図: 02|5層の役割と関係
  • 公式理論定義書・一次資料: 06|学術アーカイブ(Theory Definition v2.0)

13|生活史・個人記録アーカイブ

手記・暮らしの記録

研究者・中村達希個人の生活史(ライフヒストリー)および実存的体験に関する一次記録を保管・公開しています。客観的な理論構造の解説とは区別された、当事者の言葉に触れていただくためのアーカイブです。

Personal Narrative & Life History|2026年

The First Time I Asked Someone to Stay

著者:中村達希(Tatsuki Nakamura)

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License: Unless otherwise noted, official CMA theoretical texts and specifications are licensed under Creative Commons Attribution 4.0 International (CC BY 4.0).

Scope Note: CMA is a non-diagnostic structural analysis framework. Lived experience serves as the empirical starting point, not the model itself.

ORCID: 0009-0004-9696-7896 | 文化庁登録 第41365号の1
Site Founded: 2026-06-12 | Last Revised: 2026-10-25